24.「自然との付き合い方」
平成24年を振り返えると、第一に「雪」と「暑さ」という自然を十二分に感じさせられた一年でした。
境内の積雪は3メートルを超えたようです。
本堂前にうず高く積まれた雪を5月の連休後も除雪車で崩していくという今までにない作業を行いました。
そして、夏の猛暑。
9月の中旬でさえ真夏日。秋彼岸に入り、「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉通りとなりました。
ホッと一息したものです。
そして、今は「今年の雪はどうだろう」が、この時期の挨拶代わりになりますね。
カメムシの数とカマキリの卵の位置が積雪に関係するとかしないとか。さてさてどうなることやら。
春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて すずしかりけり
永平寺を開かれた道元禅師の歌です。
春の花、夏のほとどきす、秋の月、
冬は雪がつめたく冴え、四季は自ずとめぐる。
なんと清々しいことであろうか。
文字ずらを直接訳せばこういったことになります。
題は「本来面目(ほんらいのめんもく)」となっており、
禅師の悟り≠端的に表したものと言われています。
「すずし」とは精神が快く清らかなさま。
四季の景物を列挙して、移り行く自然と向き合えば清く澄みきった境地が得られる。
眼前の自然がそのまま道元禅師の本来の面目であり、禅師の心と自然の間には一分の隔たりもない、
そういう境地が道元禅師の悟りであったろうと思うのです。
昭和43年に川端康成さんがノーベル文学賞を受賞し、
その記念講演の冒頭でこの歌を紹介し世界的に知られるようになりました。
そして、良寛和尚の歌も紹介しています。
形見とて 何か残さん 春は花 山ほととぎす 秋はもみぢ葉
良寛さんの時世の句です。
死んでも残すものは何もありませんが、
春には花を夏にはほととぎすを、秋には満山の紅葉を見たならば、
どうか良寛の遺品だと思ってくださいと。
自然と良寛さんが一体となっているのです。
この心境を体得することが仏法であり、特に禅なのだと思います。
この心の眼を最初にお開きになったお方がお釈迦様です。
お釈迦様・道元禅師様の教えをいただき、教えに触れることにより、
少しは違った心持ちとなり、自然との付き合い方も変わってくるのではないでしょうか。
平成25年が、良い年となりますようお祈りいたします。
住職合掌