12.「 六曜 」
六曜(ろくよう・りくよう)とは
みなさんご存知の先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口の六つのことです。
暦の中で最も有名な暦注で、普通のカレンダーや手帳にも記載されています。
「葬式は友引を避けて」、「結婚式は大安に」等々、
日常生活の様々な場面で、皆さんもいろいろ気にしながら生活していませんか。
この『六曜』は仏教と密接に関係していると思ってはいませんか?
まったく関係ありません。
曹洞宗宗務庁発行の今年の「曹洞宗手帳(僧侶用の日記帳)」に、「六曜の迷信について」という文章を載せ、
誤った悪しき迷信等を断じる意識を持って人々を導いていかなければならないと示しております。
では、『六曜』とはどういうものなのでしょうか。
起源はハッキリしませんが、中国から十四世紀頃に日本に伝わったようです。
本来は、日の吉凶でなく、現在の曜日と同じようなものではなかったかと考えられます。
その後、徐々に名称や解釈・順序が日本独自のものに変わってきました。
ここでまず、それぞれの読み方を説明しましょう。
先勝(せんしょう・せんかち・さきかち)
友引(ともびき・ゆういん)
先負(せんぷ・せんぶ・せんまけ・さきまけ)
仏滅(ぶつめつ)大安(たいあん・だいあん)
赤口(しゃっく・じゃっく・じゃっこう・しゃっこう・せきぐち)
一定した読み方は、仏滅以外はないんですね。
この漢字に決まったのは二百年ほど前。
文字の変化がなされました。それは次のとおりです。
速喜→則吉→先勝
留連→立連・流連→友引
小吉→将吉・周吉→先負
空亡→虚亡→物滅→仏滅
大安・泰安→大安
赤口だけは変化しませんでした。
「仏滅」を見てみましょう。
もともとは空亡・虚亡で、すべてがむなしいという意味でした。
その意味合いから「物滅(ぶつめつ)」となり、同じ音の「仏滅」になったもの。
お釈迦様とはまったく関係がないのです。
六つの意味は大体おわかりかと思いますので、「赤口」だけ説明しましょう。
この日は昼だけが吉で朝夕は凶。祝い事は大凶。
赤という字が付くため、火の元の注意や刃物を持つ人は血が出ないよう気をつける
などといった日になるわけです。
暦に出る順番は、先ほどより説明している順ですが、
カレンダーを見ると、月に一度くらい飛んでいるところがあります。
なぜでしょう。
六曜が決まるのに、一定の決まりがあるので紹介します。
六曜の日取りは旧暦に関係するのです。
旧暦の「月の数」と「日の数」を足して6で割って余った数で決まるのです。
計算して余りが0の時は大安、1なら赤口、2は先勝、3は友引、4は先負、5は仏滅。
ですから、旧暦の1月1日は2なので、先勝。これは毎年決まっています。
いつごろから「六曜」が普及したのでしょう。
それは江戸末期といわれます。
普及した理由には一つの特徴があります。
午前が吉(先勝)、午前は凶(先負)、昼が吉(赤口)といったように、勝負事にこだわっている点です。
おそらく賭博や遊郭などの遊び場での勝負事に使われたのでしょう。
そして、他の暦注に比べて面倒な暦の知識が必要でなく、
名称や漢字を見ただけですぐに吉凶がわかることが原因と考えられます。
明治六年に、新政府は旧暦の太陰暦から現在の太陽暦に変更し、六曜を含むすべての迷信的暦注が削除され、
明治十六年に伊勢神宮の暦以外は「暦」の名称を禁じ、四十三年には神宮暦から旧暦の日付を除きました。
しかし、旧暦で生活をする庶民は困り、政府の眼を逃れて出版される「おばけ暦」に
六曜や三隣亡、九星などの暦注を記載し、政府の考えに反し、普及していったと考えられます。
その後、第二次世界大戦の敗戦で、占領軍の命令により神宮暦以外の発行が許可され、
「おばけ暦」が「おばけ」でなくなってしまったのです。
このように、六曜の意味は、歴史と共に手が加えられ、現在のとらえ方へと変わってきました。
迷信であることは間違いありません。
しかし、一瞬にしてその考えを白紙に戻すには時間が必要かと思われますが、
六曜とはこういったものだということを頭に入れて行動していただければと思います。
仏教では「日々是好日(にちにちこれこうにち)」と、毎日が素晴しい日であるという考え方であります。
この考え方で毎日を過ごして生きたいものです。